シャキシャキとした食感と、ほのかな苦み、爽やかな香りが特徴のせり。
春の七草の1つとして有名なせりですが、美味しくてつい食べ過ぎてしまうことはありませんか?
せりは食物繊維が豊富なため、大量に食べると消化不良や下痢になる可能性がありますが、栄養豊富で色々な食べ方が出来る野菜なんですよ!
食べ過ぎといっても、相当な量を食べなければ下痢にはならないので安心してください。
本記事では、せりの食べ過ぎってどのくらい?という疑問にお答えします。
また、調理法別にせりの簡単なレシピと、根っこまで食べられる「せり鍋」についてご紹介します♪
食べ過ぎに気をつけながら、色々な食べ方でせりを楽しみましょう!
目次
せりの食べ過ぎはどれくらい?どくぜりとの見分け方も
せりは食物繊維が豊富なため、食べ過ぎると消化不良を起こしやすくなります。
せりは栄養が豊富で、適量を食べる分には全く問題なく、むしろ積極的に摂っていきたい食材です。
そんなせりの栄養についてと、注意すべき「どくぜり」について解説していきます。
せりの栄養と一緒に、食物繊維の摂取目安量も紹介するので参考にしてくださいね。
せりには身体に嬉しい栄養素がたっぷり!
せりは春の七草の1つとして有名で、全国の山野に自生しています。
せりの旬は茎や葉が柔らかい2月~4月頃で、その頃には野山で比較的すぐ見つけられますよ。
せりの栽培が盛んなのは、宮城県と茨城県で、栽培物のせりは通年出回っているのでスーパーなどで購入できます。
せりには食物繊維の他にも、ビタミンCやミネラルが豊富に含まれています。
せりに多く含まれる栄養素とその効用は以下のとおりです。
せりに多く含まれる栄養素 | 可食部100gあたりに含まれる量 | 成分の働き |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 0.4g | 腸の働きを整え、便通を良くする |
不溶性食物繊維 | 2.1g | |
βカロテン | 1900mcg(マイクログラム) | がんの予防、免疫力の強化、アンチエイジング |
葉酸 | 110mcg(マイクログラム) | 貧血の改善、新陳代謝の促進や疲労回復 |
ビタミンC | 20mg | 免疫力の強化、美肌作用 |
引用 日本食品成分表(八訂)
せりに含まれる食物繊維は人間の消化酵素では分解できず、適量なら便通を良くしますが、食べ過ぎは腹痛を起こしやすくなります。
では、どのくらいの量なら食べても大丈夫なのでしょうか?
食物繊維の1日の摂取量は、成人で18~21gが推奨値となっており、せりに含まれる食物繊維は100gあたり2.5gです。
スーパーで売られているせりの1束が約100gなので、普通に食べる分にはまず問題ないでしょう!
また表のとおり食物繊維には2種類あり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の一日摂取割合の理想は2:1となっています。
せりは不溶性食物繊維が多めですが、食物繊維のバランスがとれていますね。
水溶性食物繊維:体内で水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくする(海藻類、せり、モロヘイヤ、アボカドなどに多く含まれる)
不溶性食物繊維:便のカサを増す(イモ類、ナッツ類、玄米などに多く含まれる)
せりは食べる生薬で万病を防ぐ!
せりといえば、シャキシャキした食感と独特の爽やかな香りが特徴ですよね。
せりの独特な香り成分には、発汗、解熱、利尿、食欲増進などの様々な作用があります。
漢方では、茎や葉を乾燥させたものは生薬で、水芹(すいきん)と呼ばれ、古くから煎じて服用されています。
春の野で、若葉を摘んで食べると万病を防ぐといわれている「春の七草」にせりが入っているのもうなずけますね。
旬のせりは美味しくて、つい食べ過ぎてしまいますが、適量を食べて健康になりましょう!
どくぜりに注意!誤食は下痢の原因に
せりを自分で採る場合には、せりに似た植物でしばしば誤食される「どくぜり」に注意が必要です。
どくぜりは有毒で、誤って食べてしまうと30分以内に嘔吐や下痢、腹痛などの食中毒症状が発症します。
酷い場合には、意識障害や呼吸困難に陥ることもある危険な植物なので、絶対に食べてはいけません!
では、「せり」と「どくぜり」はどのように見分ければ良いのでしょうか?
どくぜりは、成長して6~7月頃に白い花を咲かせ、その頃の背丈は1m程にもなります。
せりも白い花を咲かせますが、背丈はせいぜい30cm程なので、その頃は明らかに大きさが違います。
注意すべきは、どくぜりの葉の形状がせりに類似している若葉の頃で、混在している場合もあり、1番誤食されます。
以下の2つのポイントに注目して見分けましょう。
せりは茎の下に、細い根っこしかありませんが、どくぜりは芋状の太い根があり、これを根茎といいます。
どくぜりの根茎は縦に割ってみると、たけのこのように中空の節があるのが特徴。
心配になったら、根っこを引き抜いて、その形状を確認してみると良いでしょう。
せりの葉には特有の爽やかな香りがありますが、どくぜりの葉は無臭です。
葉をちぎって、すりつぶしてみるとその香りが良く分かるので、確認してみましょう。
せりのレシピを調理法別に3つご紹介♪保存方法も!
栄養豊富なせりは、実は色々な食べ方ができます。
「生食」「煮る」「炒める」の調理法別に3つのおすすめレシピをご紹介します♪
せりを七草がゆでしか食べたことがない…という方も簡単なレシピなので、ぜひ作ってみてください!
また、せりの保存方法についても解説していますので、参考にしてくださいね。
レシピ①【生食】せりサラダ
基本的にスーパーなどに流通しているせりは、生で食べられます。
野草として生えているせりは、アクが強いので湯がいてから食べるようにしましょう。
せりを生で食べるのにおすすめのレシピ「せりサラダ」をご紹介します♪
材料(3~4人分)
- せり・・・1束
- 絹豆腐・・・1丁
- ごま油・・・大さじ2
- 醤油・・・大さじ1と1/3
- かつお節・・・1パック(2.5g)
【作り方】
- 絹豆腐を手で適当に崩してキッチンペーパーの上に5分置き、水切りする。
- せりは根元を切り落とし、3~4cmの長さに切る。
- 絹豆腐とせりをボウルに入れ、ごま油、醤油、かつお節を加え、軽く和えたら完成!
レシピ②【煮る】せりと油揚げの煮びたし
せりは、煮びたしにしても美味しくいただけます。
さっと煮るだけで簡単に作れる「せりと油揚げの煮びたし」のレシピをご紹介します♪
材料(1~2人分)
- せり・・・1/2束
- 油揚げ・・・1枚
- 〇水・・・1カップ
- 〇和風だしの素・・・小さじ1/6
- 〇みりん・・・小さじ2
- 〇醤油・・・小さじ1
- 〇塩・・・小さじ1/4
【作り方】
- せりをよく洗い、4cmの長さに切る。
- 油揚げはキッチンペーパーに挟み、レンジで温め、箸で押さえて油を吸い取ってから大きめの短冊切りにする。
- 鍋に〇を入れて火にかけ、沸騰したら油揚げを入れて2分煮る。
- せりを加えて混ぜながら、さっと煮る。
- 火を止めて、そのまま冷まして味を含ませたら完成!
レシピ③【炒める】せりと豚肉炒め
せりを豚肉と一緒に炒めて、メインのおかずにしちゃいましょう!
中華風の味付けでごはんがすすむレシピ「せりと豚肉炒め」をご紹介します♪
材料(2人分)
- せり・・・1束
- 豚バラ薄切り肉・・・150g
- もやし・・・1/2袋
- サラダ油・・・大さじ1/2
- 〇酒・・・大さじ1
- 〇砂糖・・・小さじ1/2
- 〇醤油・・・小さじ2
- 〇オイスターソース・・・小さじ2
【作り方】
- せりは3cm幅、豚肉は食べやすい大きさに切る。
- 〇の調味料を合わせておく。
- フライパンにサラダ油を入れて熱し、豚肉を中火で炒める。
- 豚肉の色が変わったら、もやしを加えてしんなりするまで炒める。
- 〇の調味料を加えて1分程炒め、せりを加えてさらに1分炒めたら完成!
【豆知識】せりの保存方法
せりをたくさん採ったり、もらったりして食べきれないというときの保存方法をご紹介します。
せりは常温保存には向かない野菜なので、冷蔵と冷凍の保存方法に分けてご紹介します。
せりを冷蔵庫に入れる前に、水で濡らしたキッチンペーパーを根元に巻き、ビニール袋に入れましょう。
そして野菜室に入れ、根を下にして立てた状態で保存すると長持ちします♪
この場合の保存期間は、1週間程です。
せりを冷凍する場合は、茹でてから冷凍しましょう。
香りと歯触りがなるべく失われないように硬めに茹で、水にさらします。
そして水気をしっかり絞り、ジップロックなどの保存袋に入れ、冷凍します。
この場合の保存期間は、1ヶ月程です。
冷凍したせりは、和え物やサラダなどシャキシャキ感を活かす料理には向かないので、味噌汁や鍋に使うのがおすすめ!
せりは根っこも美味しい♪せり鍋を作って食べてみた!
せりは根っこまで美味しく食べられるのをご存じですか?
せりの主要産地である宮城県の仙台市には、せりの根っこも一緒に使った「せり鍋」という郷土料理があります。
今回運よくスーパーで根っこ付きのせりを見つけたので、せり鍋を作って食べてみました♪
せりの根っこは土を丁寧に洗い流そう
せりの根っこは細く、モジャモジャとしているため土などが入り込んでいる場合が多くあります。
美味しく食べるためには、根っこの汚れを丁寧に洗い落とすことが大切。
せりの根っこを洗う手順
- 根っこを軽くほぐし、手で取れる土は落としておく。
- 水を溜めたボウルに根っこを浸して、振りながら中の土を洗い流す。
- 水をかえながら、何回か繰り返す。
- 取りにくい汚れは、つまようじや歯ブラシを使ってかき出す。
せりの根っこは変色しやすいため、土を洗い流しても黒色や茶色のままという場合があります。
根っこが変色していても、腐っている状態でなければ、問題無く食べられます。
せり鍋はクセになる大人の味わい!
なぜ、せりの根っこまで一緒に鍋にいれるのかというと、それは根っこから良いだしが出るから♪
実際に作ってみて、とても美味しかった「せり鍋」のレシピをご紹介します。
材料(2~3人分)
- せり・・・根っこ付き1束
- 鶏もも肉・・・1枚
- ごぼう・・・1/2本
- 長ねぎ・・・1本
- 舞茸・・・1袋
- 焼き豆腐・・・1/2パック
- 〇水・・・600ml
- 〇和風だしの素・・・小さじ1
- 〇中華だしの素・・・大さじ1
- 〇醤油・・・大さじ1
- 〇酒・・・大さじ1
【作り方】
- せりは根っこまでよく洗ったら、食べやすく切る。
- ごぼうはささがきにして水にさらし、長ねぎは斜め切り、舞茸はほぐす。
- 鶏肉と焼き豆腐は、食べやすい大きさに切る。
- 〇を鍋に入れて、鍋つゆを作り、沸騰したら鶏肉とごぼうを入れる。
- 他の材料を加え、せりは最後に入れさっと火を通す。
せりと鶏もも肉、ごぼう以外はお好きな具材を入れてOKです!
せりの根っこ、鶏肉、ごぼうから良いだしが出て、あっさりしながらも深い味わいのお鍋です。
せりの根っこは、葉や茎よりもさらにシャキシャキとした食感で、良いアクセントになりますね♪
日本酒に合いそうな、大人な味わいの「せり鍋」をぜひ食べてみてください!
しめにうどんやラーメンを入れたり、雑炊にしたりするのもおすすめ。
せりは鍋に入れると、どんどん食べられてしまうので、これは食べ過ぎに注意だな…と思いました。
まとめ
- せりは食物繊維が豊富なので、食べ過ぎると消化不良や下痢になる可能性がある
- せりはビタミンCやミネラルも豊富で、食べる生薬といわれている
- せりに似た「どくぜり」は食べると食中毒になるため、根の形や葉の香りで見分ける
- せりは生食、煮る、炒めるといった色々な調理方法で美味しく食べられる
- せりは冷蔵と冷凍の適切な保存方法で長持ちさせられる
- 仙台の郷土料理「せり鍋」で、せりの根っこも一緒に美味しく食べられる
せりは、根っこから茎葉まで全て美味しく食べられて、栄養豊富な野菜だということがわかりました♪
もっと日頃から、食卓にせりの料理を取り入れていきたいと思います。
食べ過ぎには注意しながら、気になるレシピがあったらぜひ作ってみてくださいね!