寒い時期、登場回数が多くなる土鍋料理。
白い息を吐きながら足早に帰宅した日は、温かいものを食べて体の中から温まりたくなりますよね。
家族や友人と楽しく土鍋を囲む時間は、心も体も温まります。
みんなで楽しく食べたあと、片付けようとすると鍋には残りが…。
「このまま土鍋ごと冷蔵庫で保存したいな〜。」
このように思った経験はありませんか?
他の容器に移す手間や洗い物は、少ない方が嬉しいですよね。
とはいえ、冷蔵庫に入れたことで土鍋が割れたり壊れたりするようなことは避けたいです。
そこで、土鍋の冷蔵庫での保存や加熱するときの注意点、焦げの落とし方や予防法について調べてみました。
この記事を読んで、意外と奥深い土鍋の扱い方を知っていきましょう!
目次
土鍋ごと冷蔵庫に入れて保存しても大丈夫!
さっそく結論をお伝えすると、土鍋はそのまま冷蔵庫に入れて保存しても大丈夫です!
冷蔵庫にスペースさえあれば、何も手間をかけることなく片付けられるので、忙しい方にとっては嬉しいですよね。
保存の日持ちはどれくらい?
保存の目安は一日です。理由は、土鍋は密閉されていないためです。
密閉されていないと、冷蔵庫内の臭いが移ったり、雑菌が繁殖しやすかったりしてしまうのです。
一日と聞くと短く感じるかもしれませんが、美味しく食べきるために、工夫をしてみましょう。
ご飯を入れて雑炊、チーズなどを足してリゾット、スープが多ければうどん。定番で食べきりやすいリメイクですね。
もし翌日に食べきることが難しい場合には、早めに密閉容器に移すことをおすすめします。
長時間冷蔵庫で保存するのであれば、密閉された容器の方が衛生的で安心です。
また、土鍋に残り物を入れたまま長時間おいておくと、スープの色や臭いが土鍋に染み付いてしまうことがあります。
それを避けるためにも、二日目以降は密閉容器に移した方が良さそうです。
残り物の量が多く、どうしても土鍋のまま保存する場合は、雑菌対策のため一日一回は加熱をするようにしましょう。
とはいえ密閉容器に移した場合や、一日一回は加熱した場合でも、二〜三日以内には食べきるようにしてくださいね。
さて、冷蔵庫に入れ保存ができる土鍋ですが、知らないと割れてしまうかもしれない、知っておきたい注意点があるんです!
こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
土鍋が割れる原因は急激な温度変化!
お気に入りの食器や調理道具が壊れて、ショックを受けた経験はありませんか?
私はあります…結婚して間もない頃、新しい調理道具にウキウキしながら、コーティングされたフライパンを金属のヘラでガリガリお料理…。
当然コーティングは傷つき、良いフライパンのはずが、寿命を短かくしてしまいました。
性質や特徴を知らずに過った使い方をして、愛用している土鍋が割れてしまったらショックですよね。
買い直さなければならない事態も避けたいです。そのためにも、まずは土鍋の性質や特徴を押さえておきましょう!
性質と特徴
土鍋はその名の通り、主に土からできています。
土には熱を溜め込む性質があり、簡単に言うと温まりにくく冷めにくいという特徴があります。
温まりにくいと聞くと、デメリットに感じられるかもしれません。
しかし、じっくり時間をかけて材料に火が通ることで、金属の鍋で作るよりも美味しくなるというメリットがあります。
実際に金属鍋と土鍋を比較して、土鍋で作ったときの方が旨み成分グルタミン酸が多く検出されたという実験もあります!
このメリットが土鍋人気の代表的な理由にあげられるのではないでしょうか?
実は土鍋が割れる原因は、メリットであるこの特徴と関係があるのです!
土鍋が割れる原因
温まるのも冷めるのもゆっくりな土鍋は、反対に急激な温度変化に弱いです。
この急激な温度変化が原因で、割れてしまうことがあるのです。 なぜ、急激な温度変化に弱いのでしょうか?
実は土鍋には、目に見えない無数の穴が空いています。この穴こそが、急激な温度変化に弱い理由なのです。
目には見えないくらいの小さな穴でも、その中には空気があります。空気は、温めると膨らみ、冷やすと収縮するという特徴がありますね。
土鍋を急激に熱したり冷やしたりすると、穴の中の空気も急激に膨張または収縮をして変化します。
その変化に土鍋が耐えられず、割れの原因になるという訳です。
土に含まれている空気によって割れが起きるというのは納得ですね!
割れとは話が逸れますが、土鍋に無数の穴があることにより、土鍋自体が吸水しやすいという特徴もあります。
この特徴により、残り物を土鍋に長時間入れたままにすると色移りや臭い移りがしやすいんですね。こちらも納得です!
土鍋を使うときには、この特徴も合わせて覚えておきましょう。
「特徴や割れの原因は分かったけれど、具体的にはどのように扱えば良いの?」と疑問に思いますよね。
気をつけたいポイントをまとめてみましたので、参考にしていただけると嬉しいです!
土鍋を冷蔵庫から出して加熱するときの注意点
気をつけるべきはもちろん、土鍋の弱点である急激な温度変化です。
冷蔵庫から冷たい土鍋を出して加熱するとき、割れから守るための注意点を三つご紹介していきます!
- 冷蔵庫から出してすぐ強火で加熱しない。
- 鍋底が濡れている場合、必ず水分を拭き取ってから加熱する。
- 強火は黄色信号、空焚きは赤信号。
冷蔵庫から出してすぐ強火で加熱しない
冷たい土鍋をいきなり強火にかけたら、急激な温度変化が起きてしまいますよね。
そのため冷蔵庫から出してすぐに、強火で加熱をすることは避けましょう。
常温になるまで置いておくか、弱火で少しずつ加熱していきます。
鍋底が濡れている場合、必ず水分を拭き取ってから加熱する
鍋底が濡れたまま加熱をすることも、急激な温度変化につながり割れる危険性があります。
冷蔵庫から出して常温になるまで土鍋を置いておいたとき、結露して鍋底が濡れた状態になることがあるかもしれません。
その場合は、必ず水分を拭き取ってから加熱するようにしましょう。
土鍋を洗ってすぐに使用するときにも、水分をしっかり拭き取り、土鍋が乾いてから調理をするようにしてくださいね。
ざっと洗ったままうっかりコンロに置いて火にかけることがないよう、要注意です!
強火は黄色信号、空焚きは赤信号
強火は絶対NGというわけではないのですが、土鍋が割れるリスクを高めるため黄色信号です。
強火にかけるということは、土鍋の温度を急激に上げることになりますね。
それだけでなく、気づいたら煮詰まって鍋の焦付きや、空焚きにつながりやすいです。
強火で加熱をしたいときには、 弱火で鍋を温めてから徐々に強火にしていくようにしましょう。
強火が黄色信号なのに対し、土鍋の空焚きは赤信号、絶対NGです。割れの原因となります。
おかずが焦げ付いた上に、土鍋まで割れてしまったら…想像しただけで大ショックですよね…。
土鍋の性質からすると、基本的には弱〜中火の火加減が理想です。
強火で加熱をする時には、なるべく土鍋から離れず、中の水分量や空焚きに気をつけましょう。
番外編 熱が冷めてから冷蔵庫へ
冷蔵庫から出して加熱するときとは反対に、冷蔵庫に入れるときの注意点もご紹介します。
土鍋は一度温めると冷めにくいという特徴がありましたね。
熱をもったまま冷蔵庫に入れてしまうことも、急激な温度変化につながります。
しっかり熱が冷めていることを確認しましょう。
しっかり冷めてから冷蔵庫に入れることは、衛生面からも大切なことです。
熱が冷めないうちに冷蔵庫に入れ庫内の温度を上げてしまい、他の食品を傷ませることにならないようにしましょう。
加熱するときの注意点が色々あって、大変に感じたかもしれません。
でも、全部を覚えなくても大丈夫です!
番外編も含めどれも共通して言えるのは、急激な温度変化を避けている、ということです。
これさえ頭にあれば、自然と扱い方に気をつけていけるのではないかと思います♪
加熱の仕方に気をつけていても、使っているうちに焦げができてしまうことはあるかもしれません。
焦げができたときの詳しい対処法をご紹介します。
土鍋の焦げに力は不要!優しく落とす対処法
少しの焦げでも頑固な焦げでも、タワシなどの硬いものでゴシゴシこするのはNGです!土鍋に傷がついてしまいます。
傷をつけないスポンジで、優しく焦げを落としましょう。
少しの焦げの対処法
- 土鍋にお水を入れて一晩つけておく。
もしくは煮立たせて沸騰したら数分後に火を止め、一晩おいておく。 - 水を捨てたらスポンジで焦げを落とす。
これだけです!とっても簡単ですね!吸水しやすい特徴を利用して焦げをふやかすので、水だけで落としやすくなります。
土鍋が吸収してしまうので、洗剤など口に入れてはいけない物は水に混ぜないようにしてくださいね。
頑固な焦げの対処法
頑固な焦げには重曹やお酢、クエン酸を使います。
食材には酸性とアルカリ性があり、酸性の焦げには重曹、アルカリ性の焦げにはお酢やクエン酸を使います。
酸性の食材(肉、魚、米など)→重曹
アルカリ性の食材(きのこや野菜など)→お酢、クエン酸
お酢とクエン酸の違いは主に臭いです。お酢の臭いが苦手な方は、クエン酸を選ぶと良いかもしれません。
また即効性があるのはお酢、時間をかけて汚れを落とすのはクエン酸です。
- 土鍋に水8分目程度と重曹大さじ3〜4杯程度を入れる。
- 火にかけて煮立たせ、沸騰したら数分後に火を止めて一晩おいておく。
- 翌日、水を捨てたらスポンジで焦げを落とす。
- 土鍋に水8分目程度とお酢50cc程度を入れる。
- 火にかけて煮立たせ、沸騰したら数分後に火を止めて一晩おいておく。
- 翌日、水を捨てたらスポンジで焦げを落とす。
- 土鍋に水8分目程度とクエン酸大さじ3〜4杯程度入れる。
- 火にかけて煮立たせ、沸騰したら数分後に火を止めて一晩おいておく。
- 翌日、水を捨てたらスポンジで焦げを落とす。
一度やってあまり効果がなくても、繰り返すと少しずつ落ちることもあるので、2〜3回試してみてくださいね。
酸性とアルカリ性…??目の前の焦げが酸性かアルカリ性かなんてわからないよ…!!
こう思ったのは、私だけではないのではないでしょうか??
酸性、アルカリ性の食材を覚えておければ良いですが、ずっと覚えておくことは難しいですよね。
「焦げには重曹かお酢!」お酢が苦手な方は「焦げには重曹かクエン酸!」と覚えておくだけでも良いかもしれません。
私はよく重曹を使うのですが、大体の焦げは落ちてくれています!
重曹を試してみて、落ちない焦げにはお酢またはクエン酸を使うというやり方でも良いかも知れませんね。
ここまで焦げができたときの対処法をご紹介してきましたが、できれば焦げ付く前に防ぎたいですよね。
ここからは予防法について、ご紹介していきます♪
土鍋の目止め!試す価値あり一石五鳥♪
”目止め”という言葉を知っていますか??私は知りませんでした…!
調べてみるとこの目止め、土鍋にとっていくつもの役割を果たしてくれるものだったんです!
土鍋には、目に見えない無数の穴が空いているという特徴がありましたね。その穴を塞ぐことを、目止めといいます。
目止めをすることで、焦げ付き防止、食材の色移り防止、臭い移り防止、ひび割れ防止につながります。
また、防止をするだけでなく、できてしまった軽いひび割れ修復にも効果が期待できます。なんと一石五鳥です!
目止めのやり方には、おかゆを炊く方法、お米のとぎ汁を使う方法、片栗粉や小麦粉を使う方法があります。
どれも穴やひび割れ部分にでんぷん質を浸透させて埋めることが目的です。
どのやり方にしても、目止めの前にまず土鍋をよく水洗いし、よく乾燥させます。これが終わったら目止めを始めます!
- 土鍋に、8分目程度の水とお茶碗一杯程度のごはんを入れる。
- ごはんをほぐして弱火にかけ、吹きこぼれないように気をつけながらおかゆを炊く。
- おかゆが炊けたら火をとめ、冷めるまで置いておく。
- 冷めたらおかゆを別の容器に出して、水で洗い乾燥させる。
- 土鍋に、8分目程度のお米のとぎ汁を入れ弱火にかける。
- 沸騰したら火を止め、冷めるまで置いておく。
- 冷めたら中身を捨てて、水で洗い乾燥させる。
- 土鍋に、8分目程度の水と、片栗粉を入れる。(水10:片栗粉1)
- 水と片栗粉をよく混ぜる。
- 弱火にかけながら混ぜる。
- 沸騰したら火を止め、冷めるまで置いておく。
- 冷めたら中身を捨てて、水で洗い乾燥させる。
- 土鍋8分目程度の水と、小麦粉を用意する。(水10:小麦粉1)
- 土鍋に小麦粉を入れたら、ダマにならないようよく混ぜる。
※ダマになりやすいので注意!少量ずつ水を加え、その都度よく混ぜることがポイント! - 弱火にかけながら混ぜる。
- 沸騰したら火を止め、冷めるまで置いておく。
- 冷めたら中身を捨てて、水で洗い乾燥させる。
使うものは異なっても、やり方はどれもほぼ同じです。ご家庭に合う材料でお試しくださいね。
目止めは、土鍋の使い始めに一度やって終わりではなく、定期的に行うことで丈夫さを保つことができます。
土鍋料理の締めにご飯を入れて雑炊を煮ることは、目止めにもなります。
雑炊を煮ることは、食べている私たちだけでなく、土鍋にとっても嬉しい締めなのかもしれませんね。
今度から積極的に、締めに雑炊を取り入れたくなりました♪
まとめ
- 土鍋ごと冷蔵庫で保存をしても大丈夫!目安は一日。
- 土鍋が割れる主な原因は急激な温度変化。
- 土鍋を加熱するときには、強火・鍋内外の水分・空焚きに要注意!
- 土鍋の焦げは、つけ置きで優しく落とす。
- 頑固な焦げには、重曹、お酢、クエン酸のいずれかを使う。
- 目止めは、焦げ・臭い移り・色移り・ひび割れ防止・軽いひび割れ修復の5つに効果あり。
- 目止めには、おかゆ、お米のとぎ汁、片栗粉、小麦粉のいずれかを使う。
そのまま冷蔵庫に入れて保存をしても大丈夫な土鍋。
やった〜楽ちん♪と思ったのも束の間、土鍋ならではの注意点も沢山あり、扱い方は楽ちんとはいきませんでした。
とはいえ旨みをアップさせてくれるだけでなく、土鍋だからこその風合いや温かみは、金属鍋にはない魅力。
大切な土鍋を長持ちさせるために、必要な部分では一手間をかけていきましょう。
そしてこれからも、おでんや寄せ鍋など美味しい土鍋料理をお楽しみくださいね。締めはぜひ、雑炊で♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。