お子さんを預けている保育園から「加配をつけたい」と言われて、不安に思っていませんか?
実は、加配をつけるレベルには明確な基準がなく、加配がつくからと言って障害があると判断されたわけではありません。
保育園で加配をつけるレベルとは、集団生活を上手く送れていない状態です。
「加配」には「障害」というイメージがあり、受け入れられない方もいるでしょう。
しかし、大切なのは、お子さんの健やかな成長とこれからの明るい未来です。
加配は、お子さんが小学校に入学した時に笑顔で学校生活を送れるように導いてくれます!
本記事では、保育園が加配をつけるレベルについて解説するとともに、加配のメリットや加配が合わない時の方法をご紹介します。
目次
保育園が加配をつけるレベルに明確な基準はない!
保育園から突然「加配をつけたい」と言われたら、どのような基準で判断されたのか気になりますよね?
加配をつけるレベルとは「障害をもっている事」だと思う方も当然出てくるでしょう。
結論から言うと、保育園が加配をつけたいと言っても、明確な基準から判断されたわけではないのです!
この章では、保育園で加配をつけるレベルとはどういう事かを詳しく解説していきます。
加配をつける最終決定は保育園ではない!
お子さんの発達に心配がある方なら「加配」や「加配の先生」という言葉は聞いた事があるかもしれません。
そもそも加配とはどのような制度なのでしょうか?
保育園が日々の生活から「この子は加配をつけるレベルにある」と判断した場合に、保護者に相談します。
保護者の了解を得て申請書類を提出してもらい、保育園は市町村に加配をつけたいという申請を出します。
保育園から提出された書類を元に、市町村で加配をつけるレベルにあるのかが判断され、許可がおりるという流れです。
最終的に、保育園に加配をつけるかどうかは、市町村が決定するのです。
その理由は、保育士を補充したり、保育園に対する国からの補助金を申請したりする手続きを市町村が行うからです。
しかし、加配をつけるレベルに関して、基準が決まっているかどうかを、ある機関が市町村にアンケートして次のような結果が出ました。
- 具体的な基準は設けられていない…4割強
- 障害の程度を問わず基準が一律…3割弱
- 障害の程度により基準が異なる…2割強
明確な基準が決まっていないので「保育園が加配をつけるレベル」は非常にわかりづらいのです。
加配の打診は集団生活にサポートが必要な場合
明確に障害をもっているからではなく、集団生活を送るのが難しいかが、加配をつけるレベルの判断ポイントになっています。
例えば、障害者手帳をもっていたり、病気を抱えて保育園での生活に医療的なサポートが必要だったりする場合は、当然加配がつきます。
加配をつけるレベルかどうかが分かりづらいのは「発達障害グレーゾーン」と言われているお子さんの場合です。
<発達障害グレーゾーンと呼ばれる子とは?>
- 発達に関して心配があり、医療機関を受診したが診断は出なかった
- 乳幼児健康診断で発達に遅れがあると指摘されたが、医療機関への受診は勧められていない
- 家での様子を見ていても、発達の遅れが少し気になる程度である
上記のような場合でも保育園から加配の話が出る時はあります。
発達障害の場合、家では分かりづらくても、集団生活などの特定の場面で現れる症状があります。
主な発達障害のタイプと症状は次の通りです。
言葉や視線、表情、身振りなどでお互いにやりとりする、自分の気持ちを伝える・相手の気持ちを読み取るのが苦手です。
他にも次のような行動が見受けられます。
- 特定の事に強い関心をもつ
- こだわりが強い
- 肌や味覚などの感覚が敏感
年齢のわりに学校や家庭などの場面で落ち着きがない・待てない・注意されてもすぐに忘れてしまいます。
大人になると、次のような行動につながっていきます。
- 計画的に物事を進められない
- そわそわして落ち着かない
- 他の事を考えてしまう
- 感情のコントロールをするのが難しくなる
知的発達に問題はありませんが、読み書き計算の中で特定の学習だけができない状態を言います。
「不器用」という言葉で片づけられがちです。
- まばたきをする
- 顔をしかめる
- 咳払いや舌打ちをする
チック症が1年以上強く表れていて、生活に支障が出る状態です。
- 飛び上がる
- 自分の体や足を強くたたく
- しゃがむ
- おなかの力を入れる
- 言葉を繰り返す、言うのをためらう言葉を言ってしまう
音を繰り返す・音が伸びる・なかなか話し出せないなど、滑らかに話せない状態を言います。
発達障害は様々な症状を少しずつ持ち合わせている場合もあり、判断も対応も非常に難しいのです。
引用 NHK公式
こうした症状があっても軽度であれば、医療機関で診断がつかず、見過ごされてしまいます。
加配をつけるかどうかを決める市町村は、保育園でのお子さんの様子を実際に見ているわけでなく、書類だけで審査を行います。
保育園が「加配をつけるレベルにある」と判断しても、市町村の申請が通らなければ加配はつきません。
診断書などの決め手がないと加配の申請が通りづらいのです。
加配に関する口コミを見ても、加配の申請をしても通らない事は結構あるようです。
現場の保育園による判断と、決定を決める市町村の判断にズレがあると言わざるを得ない状況なのです。
よって「加配をつけるレベル」は以下のようにまとめられます。
- 「加配をつけるレベル」に明確な基準はなく、お子さんの実態を見て保育園が判断している場合が多い
- 保育園と市町村で「加配をつけるレベル」の認識にズレがある
保護者としては「加配をつけるレベル」とは「サポートがあった方が集団生活を送りやすい」と理解しておくと良いでしょう。
保育園で加配を勧められたら前向きに検討を!
保護者からの申し出がない場合、公立の保育園では5割、民間の保育園では2割しか加配を申請してもらえないという調査結果があります。
保育園から加配を勧められたのは、お子さんの様子を見逃さず対応したいと考えてくれたからです。
こうした保育園の考えを「加配を勧められた」とショックな気持ちだけで断るのはもったいないですよ!
この章では、加配を前向きに検討すべき理由を解説していきます。
加配の先生はお子さんを手厚くサポート!
加配の先生はどのようにお子さんをサポートしてくれるのでしょうか?
<加配の先生の業務>
個別のカリキュラムを作成し、直接お子さんのサポートをしたり、他の友達との関わりをサポートしたりする
まず加配の先生は、お子さんの障害や発達状況に合わせて、ねらいや目標を設定します。
ねらいや目標を達成するために適切な手立てや保育方法を考え、実際に対象のお子さんのクラスに入って保育を行います。
対象のお子さんに直接関わって保育するだけでなく、時には手を出さずに見守ります。
また周りの友達に、対象のお子さんの特性を踏まえた関わり方を教える事もあります。
加配の先生は様々なアプローチから保育を行い、お子さんの集団生活での困りごとを解決できるようにしてくれるのです!
加配の先生は特別な資格がなくてもなれますが、障害や発達の遅れの指導に関する資格をもっている方や、経験豊富な方が多いです。
知識や経験を基に保育に当たってくれるので、安心してお任せできます。
加配の先生は困った場面でフォローしてくれる
加配の先生がついてくれると、お子さんの困った場面に対して適切な指導をしてくれ「できない」事ができるようになっていきます!
加配の先生が困った場面でどのようにフォローをしてくれるのかを具体的に見ていきましょう。
「みんなと一緒のタイミングで同じようにやる」のが、発達障害のお子さんにはとても難しいです。
加配の先生は以下のようにフォローしてくれます。
- 参加できない場合は、一緒に遊んでくれる
- 参加するよう促してくれる
- 先生の膝に座らせて一緒に参加するなど、活動に参加できる状況を作ってくれる
発表会や運動会など、普段と違う雰囲気でたくさんの人が見ている場では、お子さんの行動が目立ってしまう事があります。
こうした場面でも他の場所を用意して待たせてくれるなど、目立たないように配慮してくれます。
また、集団生活で重要な「ルールを守る事」が苦手なお子さんもいます。
- 順番を待つように教えてくれる
- 物の貸し借りをする時の言葉を教えてくれる
- けんかにならないように見守ってくれる
集団の中で物事に取り組み、ルールを守って友達と関わっていく力を身に付けられるようにしてくれます。
自分のペースが乱されるのを極端に嫌がり、周りのペースについていけないお子さんもいます。
- 泣いている子は、励ましながら泣き止むまで一緒に待ってくれる
- やりたくなければ無理にやらせず、気持ちが切り替わるまで待ってくれる
無理に集団のペースに合わせようとせず、自分のペースで取り組めるようにしてくれます。
全く参加できない状態から、少しずつ気持ちの切り替えのタイミングが集団に追いつくようになっていきます。
言葉の遅れが原因で、先生の指示が分からない・友達との会話が困難なお子さんもいます。
- 先生の指示が分からない場合は、側にいて短く簡潔に内容を伝えてくれる
- 指示の内容が2つ以上になる時は、指示を1つずつ分けて説明してくれる
- お子さんと友達の会話に入り、意味が分からない言葉を分かりやすく伝えてくれる
お子さんの言葉がどの程度遅れているのかに合わせて、言葉に対する理解を深めてくれます。
お子さんも、先生の指示が分かるようになり、不安がなくなります。
また、他の友達との会話のサポートをしてくれ、集団と関わりが持てるようになります。
基本的な生活を送る上で必要な技能が身についていないお子さんもいます。
- 着替え・給食・トイレ等の補助についてくれる
- お絵描きの仕方、はさみの使い方など、できない事をできるようになるまで寄り添ってくれる
保育の知識とお子さんの発達状況を踏まえて教えてくれるので、技能が確実に身についていきます。
そして、周りのお子さんと比較せずに、お子さんのペースに合わせてくれるので、安心して物事に取り組めるようになります。
加配を勧められたら受けるべきその他の理由
先生との信頼関係ができ、友達との関わりも上手になるため、お子さんが保育園に行くのを楽しいと感じられるようになります。
「保育園に行きたい」とお子さんから言ってもらえると、親としても嬉しいですよね!
加配の先生がつくからといって、追加で保育料がとられる事はありません。
無料で、お子さんの発育をサポートしてもらえるのですから、利用しない手はないですよ!
集団生活でのサポートを細やかに受けられ、周りの子と一緒に生活できるだけの力がついていきます。
その結果、小学校に入学する時には、普通学級で十分生活できるだけの力を身に付けられるのです。
お子さんの特徴や保育園での生活の様子を、加配の先生が細かくまとめて、小学校へ引継ぎがなされます。
小学校の先生もお子さんの行動パターンが分かるので、対応しやすくなります。
小学校の先生とも信頼関係を築きやすくなり、小学校に行くのが楽しく感じられるようになりますよ!
「発達障害グレーゾーン」と呼ばれるお子さんがいて、加配の申請が通らない場合があると前章で解説しました。
発達障害グレーゾーンに関する解説はコチラ!
保育園の時に適切な対応がされず小学校に入学したお子さんは、入学してからも適切に対応してもらえない事が多いです。
特別支援学級にも入れず、普通学級で生活していてもついていけずに問題となっています。
引用 YouTube
保育園で早めにお子さんの症状に合わせた対応をしてもらった方がお子さんの成長に良い影響を与えてくれるんです!
保育園で加配を勧められたらお子さんは障害をもっていると悲観せずに、ぜひ利用してみて下さい。
保育園での加配のデメリットは?他の方法もある!
ここまでの章では、加配を勧められたら受けるべきだと解説してきました。
しかし、加配を受ける事がデメリットになる場合もあります。
事前に加配のデメリットを知っておけば、もしお子さんに加配が合っていないと感じた時に素早く対処できます。
加配以外にもお子さんの成長を手助けする方法があるのです!
この章では、加配のデメリットとともに、加配以外にお子さんの成長を促す事ができる方法をご解説します。
加配のデメリットは先生との相性だけ!
前章では加配のメリットを解説しましたが、逆に加配のデメリットを挙げるとするなら1つだけです。
先生も人間ですので、どうしてもお子さんと相性が悪い場合があります。
相性が悪いと、先生の気持ちがお子さんに違った形で届いてしまい、成長を促す保育が行えない可能性があります。
そういうわけにもいかないのです!
<加配をつける時に知っておきたい事>
②先生との相性が悪いからと言って、転園や退園ができない場合がある
③先生が1対1でついてくれない場合がある
もし加配の先生が合わないと感じても、保護者の考えだけで加配の先生を変えたり、急に保育園を変えたりできないのです。
園によっては「転園や退園をしない」という誓約書を書かなければならない場合もあるので、加配を受ける前にしっかり確認しましょう。
加配をつけてもらう時に、事前に確認しておきたいのは「1対1」でついてもらえるかどうかです。
市町村の決まりにより、保育園の加配が必要なお子さんの人数によって、配置(はいち)する先生の数が決まります。
その結果、他のクラスにも加配対象のお子さんがいる場合には、先生1人で2~4人を見る事があります。
1対1でついてもらいたいという希望があれば、加配の申請をする時に保育園に「どのような形で加配がつくか」を確認すると良いでしょう。
加配が合わなければ他の方法を考えよう!
もし、現在通っている保育園での加配が自分の子には合わないと感じたら、他の方法を考えてみましょう。
<加配が合わない場合の他の方法>
①市町村に相談したり、自分で調べたりして転園を考える
②児童発達支援に行く
もし転園が認められる場合には、市町村に相談して、通える範囲内に加配がつけられる保育園がないか相談してみてもいいでしょう。
児童発達支援は保育園に通いながら行ける施設です。
児童発達支援とは何なのかを詳しく見ていきましょう。
児童発達支援の対象は主に就学前の児童で、2種類の施設があります。
施設名称 | 特徴 |
---|---|
児童発達支援センター | 本人や家族を支援してくれるだけでなく、保育園や医療機関、地方自治体の専門機関とも連携を取る。 |
児童発達支援事業所 | 身近な地域で発達支援を受けられる。 通所しやすいように数多く設置されている。 |
<サービスの特徴・内容>
- もっている障害による困りごとに気づき、周りの支援を受けられるように助言してくれる
- 言葉・コミュニケーション・社会性・日常動作のトレーニング・就学準備プログラム・親子での関わり方を教えてくれる
- 送迎や給食、おやつなどのサービスがある場合もある
- スタッフがみな専門の資格や知識をもっている
<利用方法・費用>
- 1か月の中で決められた日数、通所する
- その子の特徴に合わせて、子供だけ通所したり、親子で通所できたりする
- 朝からの通所・保育園後の通所・プログラムの時だけの通所など希望やお子さんの特徴に合わせて様々な方法がある
- 受給者証が市町村から発行され、1割の自己負担で利用できる
- 所得ごとに負担上限額が決まっており、通所する回数が増えても上限金額以上の負担はない
<所得ごとの負担上限額>
対象者の区分 | 負担金額 |
---|---|
生活保護受給者・市町村民非課税世帯 | 0円 |
市町村民課税世帯(年間収入890万円以下の世帯) | 4,600円 |
上記以外(年間収入890万円以上の世帯) | 37,200円 |
この他におやつや教材費などが別にかかる場合がある。
<利用するための手続きの流れ>
- 市町村の福祉相談窓口や障害児相談支援事業所などに相談する。
この時に、申請の際に必要な書類が何かを聞いておくと良い。 - 施設の見学へ行く。
- 申請書類を提出する。
- 市町村の福祉担当窓口に、障害児通所給付支給申請書と、施設からもらった利用計画案を提出する。
- 審査が通れば、市役所から受給者証が交付されるので受け取りに行く。
- 必要な書類をもって施設へ行き、利用を始める。
何を選べばお子さんの成長につながるのかを、親として冷静な目でしっかりと見極めましょう。
まとめ
- 保育園が加配をつけるレベルは明確な基準がなく、分かりづらい
- 保育園が加配をつけるレベルは「サポートがあった方が集団生活を送りやすい」と考えると良い
- 加配の先生は、お子さんの生活での困りごとに対して、適切なサポートをしてくれる
- 加配の先生がついてくれれば、保育園を行くのを楽しみにしてくれるなどメリットがたくさんある
- 加配には先生との相性が悪くてもすぐに変えられないなどのデメリットもある
- 加配が合わなければ児童発達支援に行くなどの方法がある
本記事では、保育園で加配をつけるレベルとはどのくらいなのかを解説し、加配がつくメリットや加配以外の方法をご紹介しました。
「加配をつける」と言われて「うちの子は障害をもっているかもしれない」とショックを受けるかもしれません。
大切なのは、親が動揺せずに、子供の成長のために何が必要かを見極める事です。
本記事を読んで「加配」に対する不安が少しでも和らぎ、お子さんの成長のきっかけにつながれば嬉しいです。