ホンビノス貝は、別名「白ハマグリ」や「大アサリ」と呼ばれ、味が美味しいと流通量が増えはじめました。
貝からでるだしの香りとふっくらした身を一緒に味わえる「潮汁」は絶品です。
そんなに美味しいホンビノス貝なのですが、食べると危険だという噂なのです。
スーパーで売られているホンビノス貝は、毒が取り除かれていますので安心して食べられます。
問題は、潮干狩りで取ってきたホンビノス貝が危険なのです。
潮干狩りで採ったホンビノス貝は、毒が含まれているままなので、下処理し、毒さえ取り除けば、美味しく食べることができます。
この記事ではホンビノス貝を美味しく安全に食べるために、下処理や毒の取り除き方を紹介しています。
ぜひ参考にして美味しい潮汁を作ってみてください。
目次
ホンビノス貝が危険な理由はプランクトンにあり
ホンビノス貝は毒があるので食べるのは危険だと言われています。
なぜ危険なのか調べてみました。
ホンビノス貝の毒は中腸腺にたまる
ホンビノスの貝自体には毒はありません。
ホンビノス貝の主食であるプランクトンが毒を持っており、そのプランクトンを食べることで貝(中腸腺)に毒が溜まってしまいます。
この毒を取り入れたホンビノス貝を人間が食べると、危険だというわけです。
毒のある場所は、ホンビノス貝全体に毒が回るわけではなく、上記画像の矢印部分「中腸腺」という所に毒がたまります。
よってそれを取り除けば安心して食べられるというわけです。
スーパーで売られているホンビノス貝には、出荷規制が設けられています。
国で定められている数値はこちらです。
麻痺性貝毒 | 下痢性貝毒 |
---|---|
4MU/g | 0.16mgOA当量/kg |
潮干狩りで採ったホンビノス貝が危険な理由
スーパーで売られているホンビノス貝は、貝毒の出荷規制値が国で定められています。
安全な数値にならなければ売ることができません。
危険なのは、潮干狩りで採ってきたホンビノス貝です。
毒性のプランクトンを食したホンビノス貝の中腸腺にたまった毒を、取り除かず食べれば食中毒になります。
食中毒にならないためには、貝毒を防ぐため、中腸腺を綺麗に取り除いてから食べましょう。
基準値を超えた貝であっても、見た目では毒があるのかないのか判断がつきません。
貝毒は熱に強く、加熱調理したとしても、毒はなくならないので気を付けましょう。
他にも貝毒を防ぐ方法があります。
各都道府県のホームページに、貝毒の発生情報が発信されていますので、潮干狩りに行く前に確認しておくと良いでしょう。
安全宣言がでていない時は、採っても食べられないので注意が必要です。
また、プランクトンが発生しやすい海域は、貝毒も発生しやすくなります。
プランクトンの異常発生である赤潮時には注意しましょう。
その時は、そのエリアで潮干狩りをしないようにすることも貝毒を防ぐには効果的です。
- 各都道府県の貝毒発生情報を確認する
- 赤潮エリアで潮干狩りをしない
- 食べるなら中腸腺を取り除く
ホンビノス貝の下処理は最初に塩抜きと砂抜きをする
ホンビノス貝の中腸腺を取る手順を紹介します。
中腸腺は、身を取り出すと黒っぽく透き通った部分です。
手順は下処理してから、中腸腺を取り除きます。
下処理とは、砂抜きのことです。
塩水を含んでいますので、そのまま調理すると塩辛くなってしまいます。
美味しく食べるためには、塩を抜き、砂を抜くと食べやすくなります。
スーパーで購入したホンビノスも一度砂抜きすると良いですね。
ホンビノス貝の下処理のやり方
- 2つの貝がらをこすり合わせて洗う
- 表面についた汚れをこすり合わせて落とす
- ネットに入っているものは、ネットごと洗う(簡単なため)
- 貝がらを割ってしまわないように、優しくこすりあわせる
【砂抜き】
-
- 3%の塩水につけて、暗い所で1~2時間以上置く
- 新聞紙やアルミホイルで覆い光を遮断する
- 暗所に置くと、貝が砂を履きやすくなる
- 水の量は、貝の頭が少し出るくらいにひたひたにする
【塩抜き】
貝が塩水を含んだままだと、塩辛くなるので、塩抜きは先ほどの水から出して、30分以上~3時間くらいまで置く
アサリと違い、ホンビノス貝は砂を溜めないので、砂抜きは不要と言われていますが汚れがたくさんでますので、砂抜きはやっておきましょう。
ホンビノス貝1kgに対して、水1.5リットルと塩45g。(水温は常温20℃)
ホンビノス貝の毒「中腸腺」をとる手順
~ホンビノスの毒の取り方~
- 沸騰したお湯の中にした処理したホンビノス貝を投入
- 2~3ミリ貝の口が開いたら取り出す
- 冷水に入れてよく冷やす
- 貝柱を切る
- ホンビノス貝の身を取り出す
- 黒い部分に切込みを入れる
- 黒い部分を包丁でこそぎ、すべて取り除く
安心してホンビノス貝を食べるため、貝毒や食中毒の危険性を防ぐには必須な工程となります。
ホンビノス貝下処理~短縮版~
【ホンビノス貝下処理50℃で洗う】
- 死んでいる貝を取り除く
- 流水で貝同士をこすり洗いする
- 50度のお湯に入れて、軽くかき混ぜる
- 30分~1時間ほど置く
- 最後に流水で表面を綺麗に洗う
反対に、水温が低すぎるとあまり効果がありません。
お湯をかき混ぜるのは、貝に振動を与えてゴミや排泄物を吐き出させるためです。
水温が低くなったり、ゴミや排泄物でお湯が汚れるので、新しいお湯に入れ替えます。
水が綺麗になるまで繰り返します。
【ホンビノス貝が死んでる場合の見つけ方】
死んでいるホンビノス貝は、強い悪臭を出します。
死んでいるホンビノス貝はすぐ取り除き処分してください。
他の元気なホンビノス貝に悪影響を及ぼす危険性があり全滅してしまいます。
ホンビノス貝の保存方法
ホンビノス貝の毒を食べると発生する2症状
貝の毒で人間が食中毒を起こす症状を「貝毒」と言います。
貝毒は「麻痺性貝毒」「下痢性貝毒」「神経性貝毒」「記憶喪失性貝毒」に分けられます。
日本では「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」の2種類が報告されています。
それぞれの貝毒は原因となるプランクトンが異なります。
麻痺性貝毒はアレキサンドリウム属、下痢性貝毒はディノフィシス属のプランクトンが原因となっています。
ホンビノス貝は危険ですので、食べる時はしっかり処理をしましょう。
国内で発症した麻痺性貝毒と下痢性貝毒
麻痺性貝毒 | 下痢性貝毒 | |
---|---|---|
潜伏期間 | 食後30分以内 | 食後30分~4時間 |
症状 |
|
|
治療法 | 治療法はない ・時間とともに毒は排出される ・12時間を超えると回復に向かう ・回復すれば後遺症はない |
・3日以内に回復する ・発がんプロモーター作用があります |
※発がんプロモーター作用とは、他のがん物質によって発がん作用を促進する物質のことです。
ホンビノス貝であたってしまった場合はすぐに病院へ行きましょう。
貝毒とは植物プランクトンを餌としている
貝毒とは、ホンビノス貝を含む2枚貝が毒を持つ植物プランクトンを餌として食べることで、体内に毒を蓄積させる現象を指します。
また、蓄積する毒そのもののこと、またその毒による人の食中毒症状のことを指します。
貝毒は今から200年以上も前、1793年にカナダで貝毒による中毒事例の記録が残されています。
日本では、1948年に愛知県豊橋市で発生した貝毒事例が最初の記録として残されています。
ホンビノス貝とハマグリの違いは左右非対称
ホンビノス貝とハマグリは見た目がそっくりですが、簡単に見分ける方法があります。
見分け方のポイントは、貝殻の見た目が左右非対称かどうかです。
潮干狩りで獲った貝を見分けるときに参考にしてみてください。
ホンビノス貝とハマグリは見た目がそっくりでも、味は異なります。
それぞれに合った料理にするためにも、これからホンビノス貝とハマグリの見た目の詳しい違いを見ていきましょう。
ホンビノス貝とハマグリを見分ける方法
ホンビノス貝は、左右非対称であることが特徴で、蝶番の横にクボミがあります。
ホンビノス貝 | ハマグリ |
---|---|
左右非対称 | 左右対称 |
肉厚でずんぐりむっくり | 通常の大きさ |
黒っぽい(時間が経つと白みがかってくる) | 赤みがかっている |
外来種(北アメリカ・カナダ、メキシコ生息) | 在来種(日本生息) |
甘みや風味が強く、ヌメりがなく、弾力がある | 上品な味、ヌメりがあり、柔らかい |
身は黄身ががかっている | ピンクがかっている |
「美味しいホンビノスの選び方」
- 殻がしっかりしていて、大きい物
- 貝を2つ使い叩いた時に澄んだ音がするもの
ホンビノス貝は、噛めば噛むほど味がでてきます。
弾力のある歯ごたえがお好みであれば「ホンビノス貝」、上品な柔らかい食感が好みであれば「ハマグリ」がおすすめ。
ハマグリやアサリなどは、青潮の発生により、採れる量が不安定です。
ホンビノスは青潮などの被害を受けにくく、一年中採取できるので「浜の救世主」と呼ばれています。
【ホンビノスの栄養素】
良質なタンパク質が豊富です。
- カルシウム
- タウリン
- ミネラル
- ビタミン
うまみ成分の
- グルタミン酸
- コハク酸
も豊富です。
ホンビノス貝は千葉ブランド水産物に認定
1998年に最初に東京湾で発見されたホンビノス貝。約20年以上の月日を経て美味しくなったと言われています。
おそらくホンビノス貝の世代交代を繰り返す間に、東京湾の環境に適応したからなのかもしれません。
生産量日本一は千葉県
ホンビノス貝の生産量日本一は、千葉県です。
20年前はあさりが漁業の主力でした。
2007年度から冬場の低水温や青潮が発生するとアサリの漁獲量は激減し、陸でアルバイトをしなければならないほど不安定でした。
その代わりにホンビノスの出荷が検討されました。
2017年度193トン以降の生産量は右肩上がりに増えています。
2015年度は1000トンを超え、2017年度は1676トンに達しました。
アサリに比べホンビノスは青潮に強く、周年漁獲ができるため安定して品揃えします。
20年以上経って安くてで味も好評なのは、東京湾の環境が影響し、北アメリカ産よりも軟らかくなった「日本種化説」があります。
大阪湾でも生息しますが、2017年には千葉県が全国に誇れる県産水産物に認定する「千葉ブランド水産物」に選ばれました。
東京湾北部の船橋市、市川市沖に広がる干潟・三番瀬でとれる5.5~7cmサイズが対象になります。
外来種であっても千葉県を代表する水産物に認められました。
船橋市漁協で「漁獲量が右肩上がり」ですが、むやみに獲るのではなく、操業時間は午前5時から11時までと、自主規制を徹底されています。
ホンビノス貝のオススメの食べ方
ホンビノスは東京湾の環境に適応したので、味の進化ができたと考えられています。
科学的な根拠はありませんが、20年前より美味しくなったと言われています。
漁獲圧の低い流通初期は大きいホンビノス貝も多く、貝の足の部分も分厚かったのです。
それが硬いという表現になったのではないでしょうか。
大きい貝は、刻んで「かき揚げ」にすると美味しいですよ。
原産地の北アメリカ東海岸では、ホンビノスは、「クラムチャウダー」や「ワイン蒸し」などに調理されて食べられています。
クラムチャウダーは、日本ではアサリというイメージですが、本場アメリカではホンビノス貝だったのですね。
アサリほどの砂抜きは不要で、ハマグリよりも日持ちします。
粒が大きくて味が濃く、鍋に入れればよいだしが出ます。
「お吸い物」は、日本ではひな祭りなどで春にハマグリを使ってよく食べられますよね。
見た目もハマグリのお吸い物とほぼ変わらず、1年中食べられます。
ただし、火を通すと身が硬くなりやすいため、貝の口が開いたらすぐに食べるのをお勧めします。
もちろん「味噌汁」「ちゃんこ鍋の具材」としても美味しいのでぜひ食べてみて下さい。
【ホンビノスの気になるお値段】
値段は、嬉しいことにお手頃価格です。
一度に摂れる量も多く、旬がないので1年を通して安定して取ることができるからです。
旬がないと言っても特に、身入りがよくなる「春と秋」は特に美味しい時期です。
まとめ
- ホンビノスの主食であるプランクトンが毒を持っている
- 潮干狩りで採取したホンビノスは毒を自分で取り除く
- 毒にあたったら麻痺性拝読と下痢性貝毒の2種類ある
- ホンビノス貝は左右非対称、ハマグリは左右対称である
- ホンビノス生産日本一位は千葉県ブランド水産物に認定された
- アサリ程塩抜きは不要、ハマグリより日持ちする
日本での販売されて20年以上になるのに、ホンビノス貝を知りませんでした。
アサリやハマグリより肉厚で美味しいなんて、一度食べなければなりませんね!
潮干狩りでなく、スーパーで購入したいと思います。