尿素クリームには保湿効果があり、ハンドクリームなどでよく販売されているのをご存じの方も多いでしょう。
尿素クリームにはデメリットがあり、ターンオーバーが早まることで肌が荒れてしまうことです。
肌を良くするために使う尿素クリームで、肌が荒れるとはどういうことでしょう。
尿素クリームを効果的に使うためには、このデメリットを正しく理解しておく必要があります。
また「尿素」とは一体どんなものか、どんな作用があるのか詳しく理解されている方は少ないのではないでしょうか?
尿素の基本的な知識・尿素クリームがデメリットになる肌の特徴と使用基準について解説します。
尿素クリームのメリット・おすすめ商品も紹介しますよ。
目次
尿素クリームのデメリットはターンオーバーの促進
尿素クリームは、手荒れやゴワゴワした皮膚、硬くなった角質に効果のある保湿剤です。
しかし、尿素クリームを使う肌質や使用方法によっては、肌にとってデメリットをもたらします。
では、デメリットについて解説していきましょう。
【デメリット】ターンオーバーが早まる
尿素クリームには、肌のターンオーバーを促す働きがあります。
ターンオーバーとは、肌の細胞が周期で生まれ変わる仕組みのことです。
肌は、表皮・真皮・皮下組織の3つの構成で成り立っています。
ターンオーバーが繰り返されているのは、表皮の部分です。
表皮は4つの層(角質層・顆粒層・有棘層・基底層)で成り立っています。
引用 くすりの健康日本堂
- 一番内側の基底層で作られた細胞が分裂して、新しい細胞を作る
- 肌の外側に向かって押し上げられる
- 角質層まで達した細胞が、垢(あか)となって剥がれる
1~3のサイクルをターンオーバーといい、通常28日周期で肌は生まれ変わります。
尿素クリームは、ターンオーバーを促す役割があります。
角質の元であるタンパク質に作用し、角質をはがれやすくするのです。
尿素クリームを使い続けると、ターンオーバーのサイクルが短くなるデメリットがあります。
ターンオーバーが早まると乾燥と肌荒れになる
元々角質層は、肌の一番外側にあり、外からの刺激や水分の蒸発を防ぐバリアの役目をしています。
正常にターンオーバーが行われている場合には、細胞と細胞の間が水分や保湿成分に満たされているため潤いがあります。
短いターンオーバーを繰り返した角質層ははがれやすく、弱々しい状態となり、バリア機能が低下してしまうのです。
バリア機能が低下すると、外からの刺激に弱く、肌の保水力を持てなくなり、乾燥しやすい状態となるのです。
尿素クリームによる乾燥やバリア機能低下が、肌荒れを起こしやすいという悪循環を引き起こしてしまいます。
尿素クリームは、このようなデメリットがあるため長期間使用するものではありません。
また、肌の状態に応じて使用時期を調整する必要があります。
- 肌がゴワゴワしている
- ツヤとハリが減った
- シワやシミが増えた
- 角栓や毛穴が気になる
- 吹き出物がでる
- メイクのノリが悪い
ぜひ、ご自身の肌の状態をチェックして、使用期間を調整してくださいね。
尿素の豆知識!美容だけじゃない6つの用途
「尿素」って一体何だかわかりますか?
尿素は、有機化合物の一種で、尿中に排泄されるカルパミドともいわれ、体の代謝に使われるものです。
元々は皮膚にも含まれる成分で、皮膚に水分を保持できる成分の一つです。
以前は化粧成分としての尿素は、尿から濃縮分離され製造されていたこともありました。
現在は、アンモニアと二酸化炭素を合成して製造されています。
尿素は、多くの幅広い用途がありますね!
尿素には、タンパク質を分解する成分があり、お肌の角質を溶かすピーリング効果があります。
また、皮膚の保湿剤としても使用できます。
美容効果については、こちらで解説しています。
尿素に肥料としての用途があるのは驚きですね。
尿素には、窒素が多く含まれ、植物の葉や茎を育てる化成肥料として使われます。
微生物による分解や変化を経て、アンモニアや硝酸となり肥料として利用されるので、効果がでるのに時間がかかるという難点があります。
尿素はホルムアルデヒドと反応させることで、尿素樹脂ができます。
尿素樹脂は、合成樹脂として強度が強く、衣服のボタンや麻雀牌(ぱい)に使用されるのです。
尿素は、水と混ぜると吸熱効果があります。
吸熱効果とは、物質のエネルギーを熱として吸収することです。
硝酸アンモニウム・尿素・水が入ったものに衝撃を加えると、携帯用の瞬間冷却材として使用できるのです。
航空機の機体や、滑走路に撒く凍結防止剤としての用途もあります。
ヘリコバクター・ピロリ菌検査の内視鏡を使わない検査として、行われる尿素呼気試験というものがあります。
呼気試験では、検査薬(尿素)を服用してもらい、呼気中に二酸化炭素が多く検出されるとピロリ菌に感染していることがわかります。
尿素クリームのメリット!適正使用で肌改善につながる
尿素クリームは、1982年に興和株式会社がケラチナミンとして、日本で初めて尿素を配合した医薬品クリームを販売しました。
これ以降、薬局で尿素製剤を手軽に購入できるようになったのです。
この章では、尿素クリームのメリットを2つ紹介します。
メリット【1】肌への保湿をうながす
肌の乾燥は、紫外線・外気温・PM2.5・ストレス・睡眠不足などの環境に左右されます。
また、加齢に伴う皮脂の分泌低下や脂質やNMF(天然保湿因子)が減少することで、角質層の水分含有量が低下してしまうのです。
肌にあるコラーゲンやヒアルロン酸の保湿成分が少なくなり、水分と皮脂の少ないカサカサした肌になってしまいます。
尿素は、角質層の細胞にあるNMF(天然保湿因子)を構成する成分の一つです。
水分を肌内部に移し水分膜を作りだすことや皮脂と混ざることで、肌のバリア機能を保つメリットがあります。
乾燥肌にとって、NMF(天然保湿因子)が配合された尿素クリームを使う事は肌改善につながりますね。
メリット【2】ゴワゴワ肌をやわらかくする
ターンオーバーが乱れた肌は、乾燥したり、吹き出物ができたり、毛穴が目立ったりと肌自体が硬くゴワゴワした状態になります。
お化粧をしても、粉が吹いたような状態や化粧のノリがよくない経験はありませんか?
ターンオーバーが乱れる要因はさまざまあります。
- 生活習慣の乱れ(睡眠不足・栄養バランスの偏り・過剰なダイエット・運動不足)
- ストレス
- 喫煙
- 過度なアルコール摂取
- スキンケア不足
- 紫外線
- 乾燥
- 加齢
日常的に乱れた生活を送っている人は、生活習慣を改善するだけで肌改善につながることもあります。
また加齢によってターンオーバーのサイクルは、遅くなります。
20歳代では、通常28日周期で行われるターンオーバーは、40歳代になると45日周期になることがわかっています。
尿素クリームを使って肌改善につなげることはほんの一例で、根本的な原因を排除することがとても重要だということはご理解くださいね。
「デメリット【1】ターンオーバーを早める」の章で解説しましたが、尿素クリームを塗ることは、ターンオーバーを早めます。
ターンオーバーを早める要因に、尿素のタンパク質を分解する力があります。
肌の角質層はケラチンと呼ばれるたんぱく質からできており、尿素はケラチンを分解し、硬くなった角質を柔らかくする効果があるのです。
尿素は、肌の角質を溶かすピーリング作用があり、ゴワゴワ肌を柔らかくふっくらした肌に改善するのです。
しかし、デメリットの章でも解説した通り、尿素の働きには使い方によってメリットにもデメリットにもなりえます。
次章では、デメリットを踏まえつつ、尿素を効果的に使うための肌基準・理解しておくべき事を解説します。
尿素クリームのおすすめ2選!使用禁忌と選び方が大事
尿素クリームを効果的に使うために、理解しておくべきことを解説します。
また、濃度別におすすめ商品を提案しますよ。
尿素クリーム使用前に確認すべきこと4つ
尿素クリームを使う前にすべきことは、肌の状態をきちんと確認することです。
上記の場合には、自己判断で尿素クリームを使用するのではなく、必ず皮膚科受診をしてください。
尿素クリームは濃度と配合成分で選ぶ
尿素クリーム選び方は、肌の状態に合わせるとよいです。
肌の状態に合わせるとは、尿素の濃度と尿素以外の成分による作用から合うものを決めるということです。
まず尿素の濃度について解説しますね。
尿素の濃度 | 作用 |
---|---|
10% | 水分を保持し乾燥を防ぐ |
20% | 角質層のタンパク質を分解し、皮膚を柔らかくする |
10%であっても皮膚をやわらかくする作用はありますが、20%の方が作用の効果は高いです。
肌がただ乾燥しているだけであれば、10%尿素クリームを使用します。
また皮膚がゴワゴワしている状態になっていれば、20%尿素クリームを使用することをおすすめします。
目的によって使い分けをすることが大切ですね。
次に、尿素以外の成分の配合で尿素クリームを決めるとはどういうことか解説します。
尿素クリームの中には、尿素成分以外にも肌や症状に効果のある成分が含まれています。
具体的な成分の種類については、下記の表を参照ください。
尿素クリームに含まれる他の成分 | 作用 |
---|---|
トコフェロール酢酸エステル | 血行を促進する作用 |
グリチルリチン酸二カリウム | 炎症をとめる作用 |
ヒアルロン酸 | うるおい成分 |
リドカイン | かゆみ止め作用 |
ジフェンヒドラミン | かゆみ止め作用 |
乾燥とかゆみが伴う肌の場合には、保水作用のヒアルロン酸、かゆみ止め作用のリドカイン等が配合されているものを選ぶとよいでしょう。
赤みや乾燥が強い場合には、抗炎症作用のあるグリチルリチン酸二カリウム配合のものを検討するのもいいですね。
尿素クリームを選ぶときには、尿素以外のどんな成分が含まれているか、肌の状態と照らし合わせて選択しましょう。
尿素クリームの注意点は使用する部位と期間
尿素クリームのデメリットは①ターンオーバーを早める②乾燥と荒れに繋がる、の2点がありました。
尿素クリームのデメリットに影響を受けないよう、使い方にも注意する必要があります。
- 使用する部位はかかと・膝・肘
- 尿素クリームは長期間使用しない
尿素クリームは角質を分解し皮膚をやわらかくする作用がありますね。
そのため、皮膚が硬くなりやすい部分に集中的に塗ることをおすすめします。
人間の体で皮膚が硬くなりやすい場所は、かかと・膝・肘です。
関節の分岐点で、外部刺激も多く(かかとは常に床に接している)必然と皮膚が硬くなります。
特に皮膚が硬くなった部分に、尿素20%配合クリームは適しています。
尿素クリームを使用していると、肌のターンオーバーが促され、徐々に皮膚が改善されます。
肌のターンオーバー期間を考慮すると通常1~2カ月程度で効果が表れるでしょう。
肌が柔らかくなった頃合いで、尿素配合のされていない保湿成分重視のクリームに変更するといいですね。
尿素成分10%と20%のおすすめ2選!
尿素10%クリームでおすすめはこちらです。
資生堂 尿素10%クリーム ジャータイプ 100g
尿素成分は1g中100mg入っており10%となっています。
尿素以外の成分としては、トコフェロール酢酸エステルが1mg、グリチルリチン酸二カリウム0.5mgが入っています。
尿素でターンオーバーを促しながら、肌の血行促進や抗炎症作用を期待できますね。
尿素20%クリームでおすすめはこちらです。
メディータム20DX
こちらのクリームは乾燥とともにかゆみもある肌に効果があります。
クリーム100g中尿素は20gあり、20%の尿素となっています。
リドカイン2g、ジフェンヒドラミン1g、グリチルレチン酸0.3g、トコフェロール酢酸エステル 0.5g入っています。
かゆみ止め成分が2種類配合されているため、かゆみがある肌に効果的ですね。
またグリチルレチン酸で皮膚の炎症を鎮め、トコフェロール酢酸エステルで皮膚の新陳代謝を促す作用があります。
まとめ
- 尿素クリームのデメリットはターンオーバーを早めること・乾燥と荒れにつながることである
- 尿素クリームの用途は保湿成分の他に肥料や冷却水など多様である
- 尿素クリームのメリット①は肌の保水力を保つことである
- 尿素クリームのメリット②は角質を分解し肌改善につながることである
- 尿素クリームの使用には、自分の肌に適正かを見極めることと使用する部位・期間に気を付けることである
- 尿素クリームのおすすめは、「尿素10%クリーム」と「メディータム20DX」である
この記事では尿素クリームのデメリットと使用基準となる肌状態、使用前に注意すべきことなどを解説しました。
尿素クリームには保湿成分があるからといって、むやみに乱用してはいけないことはわかりましたね。
尿素のメリットとデメリットを踏まえ、あなたの肌にあった尿素の使い方をしてくださいね。